風景と音楽の関係性 [東京情報大学] [西村ゼミ卒業論文概要集] [年度ごとの一覧]
2024年度西村ゼミ卒業論文
風景と音楽の関係性

これまで、風景と音楽に関連した研究として、平成30年度卒業生の谷口大樹の卒業論文の実験では風景の画像を音楽とともに見せて合うか合わないかを調べる研究を行っており、これを先行研究とする。先行研究では風景の画像を使っておりこれを画像ではなくドライブしている動画に変えておこなうことにより先行研究と似たような結果になるか調べるためにおこなった研究である。

田園、山間、海沿い、湖沿い、川沿い、市街地のドライブしている動画を用いた。風景の種類については、先行研究と同じものを使用した。聴取させる音楽は、「RWC研究用音楽データベース:音楽ジャンル」の中から、曲の印象が違うものを著者の主観で6曲選別した。36種の動画は田園アフリカン、田園シャンソン、田園ソウル、田園ビックバン、田園ヘビーメタル、田園レゲエ、このように風景の動画と音楽を合わせた36種類作成した。

20代の10人の被験者に、音楽をそれぞれの風景がどの程度合うかの実験、また聴取している音楽と風景がどのような印象かの実験をそれぞれ行った。風景と音楽の印象評価実験で使用したWEBフォームの内容は6種類の風景の印象を9種類、googleフォーム上にて5段階で評価させるものにした。風景と音楽の印象評価の質問項目は風景と音楽に共通する評価語として、先行研究と同じ、「不鮮明-鮮やか」「幻想的-現実的」「広がり感のない-広がり感のある」「暗い-明るい」「嫌い-好き」「奥行感がない-奥行き感がある」「卑小だ-雄大だ」「鬱陶しい-爽やか」「激しい-おだやか」を使用した。視聴開始30秒後からフォームに回答させ1分後に再生を終了した。実験の刺激はランダムな順序に提示した。

田園と音楽の合う度合いとその音楽のおだやかさの印象に正の相関があった。これはおだやかな印象の音楽と、田園の風景が合うと判断される傾向にあることを意味する。静止画の風景を用いた先行研究では田園と音楽の合う度合いとその音楽の爽やかさとおだやかさの印象に正の相関があった。おだやかな印象の音楽と、田園の風景と合うことは先行研究と同様だった。先行研究では山間と音楽の合う度合いと音楽の鮮やかと好きの印象に正の相関があったが、本研究ではどれとも相関がないことが分かった。市街地と音楽の合う度合いとその音楽の印象には相関がなかった。この結果は先行研究と同様だった。さらに風景と曲の印象が似ている時は音楽と風景が合うが、その逆に音楽と風景が合う時必ずしも風景と曲の印象が似るとは言えないことが分かった。