自然音聴取によって得られる癒し感の要因 [東京情報大学] [西村ゼミ卒業論文概要集] [年度ごとの一覧]
2024年度西村ゼミ卒業論文
自然音聴取によって得られる癒し感の要因

現代社会において、癒し感は多くの人が必要としていて、手に取りやすい音楽やヒーリングミュージックが人気である。このことから、癒し感を感じる曲には印象・評価など共通点があるのではないかという疑問が生まれ、周波数などの物理的側面ではなく、曲の印象・評価で調査を行っていた。

本研究では、音楽ではなく、雨や鳥の鳴き声といった自然音を対象として、どのような印象の自然音を癒されたいときに聴きたいか、そして、音楽と同じように自然音でも癒される可能性があると考え、実験、分析をする。

10個の自然音(雨・川・虫の鳴き声・波・葉擦れ・鳥の鳴き声・焚き火・雷・猫の鳴き声・カエルの鳴き声)を著者が選び、音の冒頭にフェードイン1秒、終わりの部分にフェードアウト1秒、長さ約60秒になるよう編集した。また、被験者にランダムで聞かせるためにExcelのRAND関数を使い、昇順または降順に並び替えることで音番号をランダムな順序で聴取し実験できるようにした。本研究では、1週間ほど開けて、もう1度同じように音を聞いて印象評価をしてもらい、信頼性が低い(1回目と2回目の印象に相関があるといえない)被験者は省いて分析を行った。

今回の実験では過去の実験と比べ、被験者数が少なく、データ数が十分でないため、1つ1つの自然音ではなく、10個全ての自然音の結果をまとめて重回帰分析を行った。その結果、「好き」の印象を含めた重回帰分析の場合、きれいな音ほど癒されたいと思った時に聴きたい、好きな音ほど癒されたいと思った時に聴きたい、ということが分かった。「好き」を含めない場合、「きれいな」という印象が一番重きを置くということが分かった。一方、癒されたいと思った時に聴きたくない自然音は、「迫力がある」という印象の音が選ばれる傾向にあることがわかった。