音楽の好みによる産出時間の変化 [東京情報大学] [西村ゼミ卒業論文概要集] [年度ごとの一覧]
2023年度西村ゼミ卒業論文
音楽の好みによる産出時間の変化

過去の研究では、聴取している曲のテンポによって人間が感じている時間経過が変わるのか検証した。テンポが異なる複数の曲を1曲ずつ聞いてもらい、ストップウォッチで60秒だと思うところで止めてもらった。この時間を産出時間と呼ぶ。この研究の結果ではテンポが早いと物理的時間より主観的時間を短く感じていた。それとは反対にテンポが遅いと物理的時間より主観的時間を長く感じていることが示されていた。そのほかにも脈拍数による影響、および音楽の印象での産出時間の変化を調べていたが特に関連は見られなかった。その他の影響もあるのではと考えた。

今回の研究では、音楽の好みによって産出時間に影響が出るのか実験した。雰囲気が異なる曲を聞いてもらった。曲のテンポの違いが産出時間に影響してしまうことを防ぐためテンポを120bpmに統一した。ヘッドホンで曲を聞いてもらい、被験者に曲が聞こえ始めてから60秒だと感じた時点でストップウォッチを止めてもらった。1曲を聞くごとに音楽評価シートに7段階で回答してもらった。

その結果、音楽の好みと産出時間に関係は見られなかった。また、印象評価のその他の項目と産出時間にも関係は見られなかった。好きな音楽を聴取した時の産出時間が短くなり、嫌いな音楽を聴取した際の産出時間が長くなると予想したが、音楽の好みと産出時間に関係は見られなかった。また、音楽の好みだけでなくその他の印象評価の項目も関係がなかった。印象評価の別の要因が産出時間に影響する、または印象評価は産出時間に影響しないと考えた。