勝崎氏は、音楽がゲームの成績に与える影響を「パチスロ・ゲーム」を用いて研究を行った。その結果、音楽無しの場合と比べて、「重く」て「落ち着きのない」音楽を呈示するとゲームの成績が低下した。本研究では、世界観が違う2つのレーシング・ゲームを用いて、音楽がゲームの成績に与える影響とゲームに対する印象の変化が成績と関係するのかを調べる。
実験の前に、被験者のタイムが落ち着くまで練習をし、そのタイムと行った回数を記録する。そして、実験を行う直前にコースに慣れるために1回(マリオカート1回3周、GTRs1回1周)走行する。実験は、マリオカート1回3周、GTRs1回1周を指定曲4曲と音無し、ゲームオリジナル曲の計6条件をランダムで行い、各条件を走り終えるごとにGoogleフォーム上にあるゲームの印象評価に答える。そして、半分の3条件を終えた時に5分間の休憩をはさんで行った。また、ゲームを行わずに指定曲4曲を音楽のみで聴いた印象を、Googleフォーム上にある音楽の印象評価に答える実験を行った。結果、指定曲の音楽を聴いてゲームをプレイしたゲームの印象と、各音楽の印象は似た印象となった。また、GTRsのゲームオリジナル曲は毎回ランダムに選ばれたものが再生されるため、音楽の影響があるため結果には示さなかった。
各ゲームにおいて、実験で得られた被験者のタイムと各音楽条件との因果関係を、分散分析を行って調べた。結果、マリオカート、GTRsともに成績に有意な差は見られなかった。これらのことから、パチスロ・ゲームの場合とは違い、音無しの場合に比べて音楽を呈示した場合でもラップタイムとは関係しなかった。原因として今回は実験を1回しか行っていないため、偶然の要因によって被験者のラップタイムに影響が現れなかった可能性がある。また、ゲームの印象については音無しの場合に比べて提示した音楽の印象に似た印象をゲームに持つことが分かった。