音楽聴取時の風景の印象とその音楽の印象との関係 [東京情報大学] [西村ゼミ卒業論文概要集] [年度ごとの一覧]
2019年度西村ゼミ卒業論文
音楽聴取時の風景の印象とその音楽の印象との関係

音楽と風景の関連性とそれらが合う要因についての研究(以下、「先行研究」とする)では、音楽に風景がどのくらい合うか明らかにすること、また音楽と風景が合うとされる場合、それらの印象にはどのような関係があるのかを明らかにすることを目的とした。その結果、音楽に自然風景が合う度合いが高いほど、その楽曲と風景が似た印象になることが示唆された。先行研究では、音楽の印象と音楽に合わない風景との印象の関係についての実験を行っていなかったため、本研究で調査するに至った。

本研究では、先行研究と同様な実験手法を用いて、音楽の印象と音楽に最も合う風景の印象との関係、また音楽の印象と最も合わない風景の印象との関係を明らかにすることを目的とした。

実験は、先行研究と同手順、同質問内容で行うようにし、実験する環境や機材も同じものを使用するようにした。はじめに、10種類の音楽に対し、それぞれ6種類の風景が音楽に合う度合いと、それらの音楽の印象を評価させた。その結果から、それぞれの音楽に最も合う風景と音楽に最も合わない風景を選出した。次に、音楽に最も合う風景画像の印象と音楽に最も合わない風景画像の印象を回答させた。それらの結果から、音楽に最も合う風景の印象と音楽の印象との関係、音楽に最も合わない風景と音楽の印象の関係を調査した。

最後に、先行研究の結果と本研究の結果を比較し、評価結果の傾向を調査した。その結果、音楽に最も合う風景の印象と音楽の印象との間には、音楽に合っている度合いが高いほど音楽に最も合っている風景と音楽の印象が似た傾向にあるとは言えない結果が示された。また、音楽の印象と音楽に最も合わない風景の印象との間には、音楽に風景が合っている度合いが低いほど最も合っていない風景の印象と音楽の印象が反対になる傾向が弱く存在することも示された。