怖い音楽は怖い映像、怖いストーリーやエピゾードと組み合わされていることが多い。その為、音楽を聴いたときに映像刺激の与えた恐怖が音楽を聴いたことで想起されているだけなのではないだろうか?という疑問が生まれた。そこで、怖い音楽はそもそも存在するのかを調査するため、著者の主観で怖そうだと思われる10曲を選定し、曲ごとに<怖い>を含めた9対18種の印象の評価とメディア別にどのくらい知っているかを調査する実験を10人に行った。
曲は怖いとされる曲から、有名な曲とそうでない曲を5曲ずつ用意し、印象の評価は7段階で行った。認知度調査では6つのメディア項目、三段階の認知度合いで行った。また、自由記入欄なども用意した。
実験を行い、データを集計した結果、すべての曲が印象の平均をみると<怖い>印象を持たれていることがわかった。よって平均値から見る限りは全ての曲は怖い曲であると言える。また、10曲に対する10人の100ケースを調べた結果、曲を知らないにも関わらず10個ケースで強く<怖い>印象が持たれることがわかった。<怖い>印象とその他の印象の相関を算出したところ、<暗い>印象と<絶望的な>印象の曲は同時に<怖い>印象を持たれやすく、<陰気な>印象の曲はやや<怖い>印象を持たれやすいことがわかった。そして、<怖い>印象と<緊張感のある>印象あるいは<複雑な>印象はほとんど相関がなく、相似的関係はないと言える。次に曲ごとのメディア別の平均認知度と、その曲の<怖い>印象との相関を算出したところ、まったく相関がみられなかった。その為、認知度は<怖さ>に影響を与えないといえる。