本研究の目的は、氷刺激によるストレスが音楽によって生理的側面と心理的側面で軽減されるのか。また、ストレス時に音楽聴取することでストレスが緩和されるのか調べることを目的とした。
実験は5日間に分けて行い、東京情報大学の健康な学生5名を対象とした。ストレスを与える方法として氷刺激を行ってもらい、実験の流れは、氷刺激前の安静時3分、氷刺激5分、氷刺激後の安静時5分である。評価方法は、鼻部皮膚温度、心拍数、POMS(感情プロフィール検査)簡易版である。鼻部皮膚温度と心拍数は、氷刺激開始前30秒から氷刺激後の安静時5分後までを測定した。POMS簡易版は、氷刺激前、氷刺激直後と氷刺激後の安静時5分後の3回評価してもらった。鼻部皮膚温度は、氷刺激開始から2分30秒までと氷刺激終了から2分30秒までを比較した。ストレスを感じると鼻部皮膚温度は低くなる。心拍数については、氷刺激開始から256秒までと氷刺激終了から256秒までのストレス指標(LF/HF)を算出し比較した。心拍数のストレス指標は、ストレスを感じると値が高くなる。音楽はブランデンブルグ協奏曲第1番とウェイトレスを使用した。実験条件として、氷刺激開始から音楽聴取(ブランデンブルグ)、氷刺激終了から音楽聴取(ブランデンブルグ)、氷刺激開始から音楽聴取(ウェイトレス)、氷刺激終了から音楽聴取(ウェイトレス)、音楽無しの5条件である。
その結果、生理的側面の鼻部皮膚温度では、音楽が必ずしもストレスを緩和させるわけではなかった。生理的側面の心拍数では、音楽でストレスを緩和することがわかった。心理的側面のPOMS簡易版では、音楽が緊張や不安を緩和する傾向があったがその緊張や不安は氷刺激が原因なのかわからなかった。
音楽の違いについては、はっきり分からなかった。