先行研究では、音楽に最も合う風景を、6種類の中から1種を選択させる実験を行った。風景に合う楽曲を4つの方式で選出することを提案し、風景に合った楽曲を選出するようなシステムを作成した。音楽に複数の風景が合う場合や、6種類の風景のどれもが音楽に合わない場合でも、1つの風景を、音楽に最も合う風景のデータとしてシステムで扱った。しかし、音楽に対して風景がどれくらい合っているかわからないため、本研究を行うに至った。
本研究では、音楽に風景がどのくらい合うか明らかにすること、また音楽と風景が合うとされる場合、それらの印象にはどのような関係があるのかを明らかにすることを目的とした。
被験者に音楽を聴取させながら、6種類の風景それぞれが音楽に合う度合いと、その音楽の印象を問う実験を行った。その結果、音楽に合う風景と合わない風景があるものや、複数の風景が合うもの、どの風景にも合わないような曲があることが分かった。
次に、音楽それぞれに最も合う風景に対して、その印象と音楽の印象とを比較し、相関分析を行った。その結果から、音楽に自然風景が合う度合いが高いほど、その楽曲と風景が似た印象になることが示唆された。また市街地の風景は、音楽に合う度合いが高くても、その楽曲と風景が似た印象にはならないことが示唆された。