CG映像に対する効果音の制作による演出の効果 [東京情報大学] [西村ゼミ卒業論文概要集] [年度ごとの一覧]
2018年度西村ゼミ卒業論文
CG映像に対する効果音の制作による演出の効果

映像作品において制作者の意図を考えたことがあるだろうか、例えば、ドラマのアクションシーンで、格闘の打撃の効果音を使うことで、より白熱した戦闘シーンを見せたいという制作意図があった場合に視聴者はどう思うだろうか。格闘の打撃に強い衝撃音をつけることによって、実際に打撃をしたような印象を与え、より白熱した戦闘シーンを本当に見せられているのだろうか。今回の実験では制作者の意図でつけた効果音が本当に視聴者に伝わっているのかはっきりさせたい。この研究では1つの映像に合わせた3種類の効果音のパターンを比べて絶対評価と相対評価を行った。そのうちの2つは自分で「怖さ」と「虚しさ」の演出するよう自作し、1つは元からついている効果音を使用した。演出通りに評価されているかを調べることを目的とした。

絶対評価を行うため、それぞれの評価を別の日に行ってもらった。相対評価は絶対評価の3回目のあとに連続して2回視聴してもらった。

動画の作品はNHKクリエイティブライブラリーから効果音のある映像を使用し、これを「オリジナル」とした。効果音はネット上にあるフリー音源を使用してAudacityで音質を変更してMOVIESTUDIO14で編集、音量の調整とフェードイン、フェードアウトを行い、すべての効果音の制作を行った。「オリジナル」の効果音は、効果音制作に影響を及ぼす可能性があるので実験が始まるまで聞かなかった。

実験結果は、絶対評価より、怖いの評価は3作品ともに高かった。しかし、「オリジナル」が一番怖いことかった。さらに、相対評価では、怖さは全作品同程度の結果になったため、3つのどの作品と比べても怖さに差がなかった。絶対評価と相対評価の結果から、「怖い」が演出として伝わっていないことがわかった。絶対評価より、3作品とも充実したの評価がゼロに近いことから、これらの作品は平均的に虚しいと感じられていなかった。さらに、相対評価では、虚しさは3つの作品が同程度の結果になったため、3つのどの作品と比べても虚しさにほとんど差がないことから、「虚しさ」が演出として伝わっていないことがわかった。

今後このような実験を行う場合は、制作者が効果音についての意識を高めておく必要がある。普段視聴する映像作品をただ視聴するのではなく、作品の効果音に注目し、どのような意図で効果音をつけられているのか考えることで、自分が効果音を制作する時に、参考にすることができるからである。表現したい演出を選ぶときは楽しさや綺麗さなどのわかりやすい演出にすることを推奨する。