VR酔いは音楽で緩和できるのか [東京情報大学] [西村ゼミ卒業論文概要集] [年度ごとの一覧]
2017年度西村ゼミ卒業論文
VR酔いは音楽で緩和できるのか

2016年にSONYが発売したPlayStation VRをきっかけに世界中一気にVRが浸透した。VRはゲームやアミューズメントを体験するときなどに使用し、幅広い年齢に人気である。その一方で問題とされている点がいくつかあり、VR酔いというのが多くの人が感じているようなのだ。個人差はあるようだが乗り物酔いと同じ感覚に近いもののようだ。今回この酔いを少しでも緩和できないかと思い普段多くの人が聴く機会があるであろう音楽と組み合わせることで、軽減できるのではないかと思い実験を行った。

被験者10人にVR装置を着けてもらい、1周2分程度のジェットコースターの映像を3周分、つまり6分程度のジェットコースターの映像を、音楽を聴きながら見てもらった。音楽を2つ用意し、もう1つはジェットコースターの音の計3つを用いた。1日一回の実験で3日間にわけて行った。一度に実験すると被験者の負担になると考え、日をわけた次第である。2つの音楽のジャンルは対象的なクラシックとEDMとした。そしてジェットコースターの音だけの条件も行うことで、音楽ありとなしでは酔い度に違いがあるのか調べた。酔い度の計測方法は、今まで被験者が体験したことのある最大の酔いを10として、ジェットコースターが1周回し終わった度に被験者に質問し、その時の酔い度を1〜10で答えてもらった。この実験では酔いを題材としているので被験者の意志でいつでもやめられるという十分な説明を行った。酔いとは気持ちに左右されることがしばしばあるので、生理的変化がないかを調べるために、実験開始前と終了時に血圧と脈拍を計測した。その結果VR酔いは音楽のありなし、および音楽の種類によって違いはないが、ジェットコースターの周回を重ねるにつれて酔い度が増していく傾向にあるということが分かった。血圧と脈拍も実験前後で特に変化なしという結果だった。実験時間が短かったため音楽による酔いの緩和効果を感じる前に終わってしまったからではないか、また音楽条件を2つと限定し少なかったのではないかと考える。故に実験時間を長くすれば音楽の緩和効果を得られるかもしれない。そして音楽の種類やジャンルを増やせばその中に緩和される音楽条件もあるかもしれない。そのためには実験期間を延ばす必要がある。