照明の明暗による音楽の印象の違い [東京情報大学] [西村ゼミ卒業論文概要集] [年度ごとの一覧]
2017年度西村ゼミ卒業論文
照明の明暗による音楽の印象の違い

劇場やコンサート会場において使用される音楽を盛り上げるために行われる照明演出について研究する。過去の研究では、照明色が音楽の印象に及ぼす影響と音楽と照明の調和について研究している。その結果から一般に照明色が音楽の印象に影響をあたえること、また音楽が本来持つ特徴を助長する照明色が、その音楽と調和するとは言えないことがわかっている。しかし過去の研究の問題点として、先行研究で使用された白色照明が暗いことと、真っ暗な状態で印象がことなるかどうかわからないこと、さらに実験回数が被験者に対して一回であることが挙げられる。よって本研究では「白」に「照明無し」の条件を加えた2色で研究を行った。そして実験を二回行った。その理由として被験者の調子や気分によって評価が変わってしまう可能性があり、安定した回答を分析するためである。さらに過去の研究ではLED の照明を使用していたのが、本研究では部屋の蛍光灯を使用する。その理由として一般的に目にする照明が蛍光灯だからである。

実験は暗幕で外部からの光を遮断した部屋に照明スイッチで明かりを変えて照明の条件を変える。被験者には1曲ごとに音楽の印象を11の評価語で評価してもらう。それに加えて音楽と照明の調和も調べる。そして、その結果から、照明の有無が音楽にどのような影響を及ぼすのか分析し、白い照明下での音楽の印象と照明無しでの音楽の印象が、どう異なるのかを調べる。

その結果、「照明あり」は照明無しよりも音楽の「迫力が増し」、「照明無し」は「迫力をない」ものにする。「照明あり」は「照明無し」よりも音楽に「明るい」印象を与える。「照明無し」は照明ありよりも音楽に「のどかな」「情緒がある」印象を与え、「きれい」「さわやか」「好き」は照明によって与える印象が左右されない。鮮やかさに関しては、照明の有無による印象の変化があまりないことがわかった。また「照明あり」と調和する楽曲と、「照明無し」と調和する楽曲があった。照明がないことも、演出として曲の印象に違いを出せるということがわかった。