CG映像における効果音の制作と評価 [東京情報大学] [西村ゼミ卒業論文概要集] [年度ごとの一覧]
2017年度西村ゼミ卒業論文
CG映像における効果音の制作と評価

著者は言葉や効果音、音楽など様々な"音"に魅せられてきた。そんな音を自身で作成することはできないかと思ったことがこの研究を決めた理由である。今回の実験では本研究室の過去の先行研究を参考に実験を行った。目的として日常生活において身近な道具を使用し映像に合わせても違和感のない効果音を制作できるか、自作のものは他人が制作した効果音のものとどう違うかを比較、評価することにした。先行研究では身近な道具を使用し効果音を制作し、他者の効果音と比較、評価した。先行研究と今回の実験の違う点として、本実験を行う前に仮実験を実施し実験方法の改善点の確認、効果音制作に関して素人である自身の編集技術向上を行った。また、先行研究では事前に他者の効果音を知り参考にしながら効果音制作を行っていた。そのため似た評価になってしまったため、本実験では一切他者の効果音を聞かずに制作を行った。

仮実験ではNHKクリエイティブライブラリーから音が入っている映像を使用した。映像には大型動物と肉食獣の足音、鳴き声等があった。仮実験ではネット上のフリー音源を使用しエフェクトをかけて制作を行った。制作した効果音と他者の効果音とはどのような違いがあるか比較、評価する主観評価実験を行った。実験方法は被験者に他者と自作をそれぞれ絶対評価した後に相対評価をしてもらった。その結果、自作の『迫力』『現実的』などの映像の世界観に関係する項目の評価が低いことから、音の強弱を分かりやすくすることが必要だと感じた。また、実験方法は改善点は見当たらなかったため、本実験も同じ方法で行うことにした。

本実験では仮実験と同じサイトから映像を使用した。効果音が複数ある映像がなかったため、指導教員に効果音制作の依頼をした。映像には恐竜の鳴き声、足音、捕食音、環境音があった。鳴き声、環境音はネット上にあるフリー音源を使用したが、それ以外の音は全て制作した。使用した道具は砂、カプセルトイ、洗濯バサミなどである。仮実験と同様の実験方法で主観評価実験を行い、15人の被験者に評価をしてもらった。その結果、全体の絶対評価ではどちらも似たような評価になった。視聴順番事に見ると他者、自作共に後に視聴したほうが全体的な評価が高いことが分かった。視聴順序を逆にして絶対評価をもう一度被験者に行うことで、順序効果が結果に関係するかわかるのではないだろうか。相対評価では視聴順番は結果に関係ないということが分かった。『好み』と『映像に合っているか』の評価の度合いについて相関分析を行ったところ、相関があり映像に合っていると感じる効果音は好みである効果音ということが分かった。