音楽聴取した後と聴取しなかった後の身体運動能力の違い [東京情報大学] [西村ゼミ卒業論文概要集] [年度ごとの一覧]
2016年度西村ゼミ卒業論文
音楽聴取した後と聴取しなかった後の身体運動能力の違い

先行研究では、好みの音楽を聴取した場合と何も聴取しない場合と騒音で、その後の人間の身体運動能力にどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的としていた。しかし、好みの音楽について定義として不足なところが見られた。好みの音楽を聴取した後、気分が高揚する場合と沈静化する場合2つの可能性があると考えられている。そのため、好みの音楽聴取の設定を再検討する事が課題とされていた。

スポーツ選手は気分を高め、いつも以上のパフォーマンスを発揮するために手段の1つとして好みの音楽を聴く。そこで好みの音楽でなくとも、気分が高まるような激しい音楽ならば音楽を聴取しない時に比べ身体運動能力は向上するのかという疑問が出た。激しい曲ならば、身体運動能力は向上するのか。つまり、音楽の有無で身体運動能力は変わるのか。今回の実験は、音楽と身体運動能力の関連性を調べることを目的とする。

本研究は、11名の実験協力者を用いて音楽を聴取する条件と音楽を聴取しない条件の2つの条件で、握力・反復横飛びを測定した。

その結果、音楽を聴取した後と聴取しない場合で、その後の身体運動能力に差がほとんどないことがわかった。つまり、激しいと思われる曲を聴取するだけでは人にあまり影響がないという事が考えられる。音楽有りにおいて、右手の握力と反復横飛びの間に相関が認められた。相関が認められた要因として、ほとんどの被験者は音楽を聴取する条件を1回目に行ってしまった。そのため、1回目は頑張る傾向にある人が多かったのか、音楽有りの条件で握力と反復横飛びに、相関が認められたのではないか。初めての事に対する高揚感からか普段以上の力を発揮してしまい、1回目の握力の方が2回目よりわずかだが高くなってしまった可能性がある。また、運動前の最高血圧値は初めての実験のため緊張してしまい、音楽を聴取する条件の方が音楽を聴取しない条件より血圧が高い傾向にあったと考えられる。今後は被験者の実験順序のバランスを取り、実験を行う必要がある。