星野源のミュージックビデオの視聴における視覚と聴覚の相互作用 [東京情報大学] [西村ゼミ卒業論文概要集] [年度ごとの一覧]
2016年度西村ゼミ卒業論文
星野源のミュージックビデオの視聴における視覚と聴覚の相互作用

岩宮眞一郎の「オーディオ・ヴィジュアル・メディアを通しての音楽聴取行動における視覚と聴覚の相互作用」を参考にし、視聴環境を変えることで音や映像の印象の違いを研究する。本研究では星野源の5つのミュージックビデオ(以下MVと表す)を使用し、様々な視聴環境で実験を行うためスマートフォン×ヘッドホン、スマートフォン×スピーカー、スクリーン×ヘッドホン、スクリーン×スピーカー、ヘッドホンのみ、スピーカーのみ、スマートフォンのみ、スクリーンのみの計8種類の視聴環境で40通りの実験を行う。SD法を使って22項目の両極7段階評価で、音だけの印象と映像だけの印象、および音と映像を合わせた印象の評価を行い、それぞれの印象を比較するのを目的とする。また、過去の研究のように同じムードをもった音と映像が組み合わされているのか確認を行う。

5つのMVについて冒頭から1分30秒過ぎたところから1分間のMVを作成した。この5つのMVと8種類の視聴環境を組み合わせた40通りの実験を、10回ずつ4回にわけてMVをランダムに再生し、被験者に評価してもらった。

今回の研究でも、過去の研究のように同じムードをもった音と映像が組み合わされているMVもあったが、必ずしもすべてのMVで見られるわけではなかった。「日常」、「フィルム」、「知らない」の3つのMVはスピーカーとヘッドホンの再生音のみの印象が似ていた。また、「日常」、「フィルム」、「知らない」の3つのMVはスクリーンとスマートフォンの映像のみの印象が似ていた。しかしMVごとに印象は変わるが、5つのMVすべてについて、スマートフォン、スクリーン、ヘッドホン、スピーカーの4つをどう組み合わせても印象は大きく変わらなかった。

過去の研究では、オリジナル素材20種類、組み合わせ素材20種類、計40種類の動画を使用して実験を行ったため評価にばらつきが出て因子が5つになったが、今回の実験では1人のアーティストのMVを5つのみだったので評価にばらつきが出にくくなり因子が3つになってしまったと考えられる。映像音響再生環境によるMVの印象への効果をより調べるためには、今後の研究では多様なMVを使用して改めて実験を行う必要がある。