ある楽曲における聴取者の好むスウィングの大きさについて [東京情報大学] [西村ゼミ卒業論文概要集] [年度ごとの一覧]
2016年度西村ゼミ卒業論文
ある楽曲における聴取者の好むスウィングの大きさについて

池上と重野による「聴取者が好むスウィングの大きさに影響する要因」という研究を参考にした。

スウィング(swing)とは今日の音楽で幅広く取り入れられる音楽表現技法の一つであり、その大きさは、拍を分割する長音と短音の持続時間の比(スウィング比:swing ratio)によって数量的に表される。過去の研究では、1曲のみを取り上げて実験を行ったため、別の楽曲や別の楽器を用いて実験した場合、同じ結果になるのか明らかにされていない。本研究では先行研究と異なるジャズ楽曲''Sing, Sing, Sing''を対象とし、ピアノ・ベース・ドラムスを用いて独奏か合奏、メロディの有無、テンポが異なる演奏において、聴取者の好むスウィングの大きさを調べることを目的とする。対象曲から8小節を抜粋し、テンポは120bpm、208bpmとした。11名の被験者は演奏条件とテンポを組み合わせた演奏ごとに1:1-6:1のスウィング比をランダムに聴いてもらい、その中で最も好ましいと思うスウィング比を選んだ。なお、

スウィング比の値が分かってしまうと同じスウィング比の値を選ぶ可能性があるため、被験者が選ぶスウィング比の値を分からなくした。その結果、ピアノ独奏条件は合奏条件とドラムス独奏条件よりも好みのスウィング比が大きい傾向があった。また、どの演奏条件においても、テンポの遅いほうが速いテンポより好みのスウィング比が大きい傾向があった。しかし、演奏条件とテンポの交互作用、演奏条件とテンポの主効果は有意ではなかった。つまり、演奏条件とテンポによる好みのスウィング比に違いはあるとはいえなかった。