レポート(報告書)には大きく分類して調査系報告書と実験系(技術系も 含む)報告書に分けられるであろう。ここでは実験系報告書の書き方について簡単に記した。
レポートの書式として重要なのは、節立ての書式であり、各節毎に書かれ る内容が分類されていることである。では、基本的な書式の例を以下に示す。 注釈は赤で記した。
この節では、本報告の目的を簡潔に述べ、過去に本報告の動機となるような研究や報告があればそれらを引用して、自らの報告の位置づけを明らかにすること。
実験条件は、テンポ5通り、リズムパターンを3通りとして、合計15条件となる。これら15条件をランダムに行い、それを10回繰り返した。
実験における全ての条件、および繰り返し数は必ず記載する
スネアドラムのリズムパターン | バスドラムパターンA | |
バスドラムパターンB | バスドラムパターンC | |
図1.実験に用いたリズムパターン |
実験装置が実験意図を満足するような性能を満たしているか、についてはあらかじめ調べておくべきことではあるが、自明な場合は特に書かなくてもよい。
被験者の実験に対する経験が、実験結果にある程度影響を及ぼすと考えられるときには、被験者の素性を明らかにした方が良い。
グラフ中には縦軸と横軸の説明が必須であるが、それだけでは説明しきれない部分は、グラフ中の凡例や、本文中において十分な説明を行い、そのグラフがどんなデータを表しているものかを明らかにすること。また、グラフの軸、特に縦軸は、その範囲をデータが取りうる値の範囲に合わせることにより、無駄な空白部分を作ることなく、効率よくデータの変化を見て取れるようにすべきである。
図2からは、テンポが遅いとき(4分音符 = 80)には、2拍目と4拍目が3.7%(約32分音符の時間に相当する)遅れるときに、ちょうど良いリズムと判断されることが分かる。テンポが速くなるに従い、ちょうど良いとされる遅れ時間は小さくなっていくことも分かる。
図3には、全ての被験者の調整値を平均した値を、各リズムパターン毎に示した。
図3は、リズムパターンによらず、図2とほぼ同じ傾向が見られることを示している。
実験結果を示すときには、実験条件の違いを横軸にしたり、グラフの線で実験条件を分けることによって、実験条件の違いが、結果にどのような違いを与えているかを分かりやすく示す。また、グラフから読み取るべきデータの特徴を必ず説明すること。
ロック音楽の2拍目と4拍目のタイミングを、被験者がもっとも気持ちよいリズムとなるように調節させる実験を行った。その結果、テンポが遅い場合(四分音符 = 80)は、正確なリズムより32分音符程度遅らせた方が気持ちの良いリズムとなることが分かった。テンポが速い(四分音符 = 140 あるいは 160)場合は、平均すると正確なリズムより遅らせる方が良い評価が得られる傾向にあるが、調節のバラツキも相対的に大きくなることが分かった。これは、テンポが速くなると、正確なタイミングに対する調整のバラツキも大きくなること[3]が関係しているものと思われる。
大きい小さいなどの量を述べるときには、それが具体的にどの程度の値であるのかを書くべきである。