方向定位実験

方向定位実験とは?

さまざまな方向においたスピーカより再生した音を聴き、音が聞こえてきた方向を答えます。音が再生された方向と、音が聞こえてきた方向とが一致すれば、方向定位ができた、ということになります。
 

なぜ方向定位実験をするの?

映画やビデオゲームの世界は、一種の仮想現実(バーチャルリアリティ:VR)環境であると言えます。よりリアルなVR環境を体感させるためには、音の聞こえてくる方向を、自由自在にあやつる必要性があります。かといって、スピーカを沢山配置し、切り替えて再生するのは現実的に不可能なので、少数(2〜8個)のスピーカ、あるいはヘッドホンで、あらゆる方向からやってくる音を創り出す必要があります。つまり、人間の耳をだます必要があります。

何を手がかりにして音のやってくる方向を判断しているのか? という人間の聴覚の仕組みが分かれば、その手がかりをうまく操作してやることによって、人間の聴こえをだますことも可能になります。よって、何を手がかりに方向を判断しているかを調べるために、方向定位実験は重要になります。そして、スピーカの無い方向からも、あたかも音がやってきたかのように、うまくだませたのか?ということを調べるにも、方向定位実験が不可欠です。
 

水平面と正中面

水平面(ここでは、両耳を結んだ直線を含むことのできる平面)の、右側からやってくる音は、右耳により強く捉えられ、かつ右耳により速く到達します。この強さの差と時間差を手がかりとして、人間は水平面にある音の方向を判断していることが明らかになっています。

ところが、正中面(ここでは、両耳からの距離が等しい点によって作られる面)からやってくる音は、両耳に同じ強さでかつ時間差なしに到達します。では、どうやって音のやってくる方向を判断しているのでしょう?実際に、正中面からやってくる音の方向判断は難しいのですが、無理というわけではありません。

正中面定位実験

正中面からやってくる音の方向を判断するには,頭の動き、音の種類、判断する人の経験、部屋の音響環境などが影響することが分かりつつあります。この実験室では、頭を動かさず、反射音のない環境で、音の種類や判断する人の経験によって、正中面定位の正確さがどれだけ変わってくるかを調べています。
 

音が鳴ったスピーカを当てられますか?

正中面に配置した5つのスピーカのうちのどれか1つから、音が鳴ります。どのスピーカから音が出たのか、当ててください。



東京情報大学 情報文化学科 西村ゼミ
Akira NISHIMURA    akira@rsch.tuis.ac.jp