増加包絡波と減少包絡波
正弦波を鋸状の変調波によって変調した信号と、それを時間的に逆方向から
再生した信号とは、音色が異なって聴こえる場合がある。増加包絡波(図a)で
は正弦波の背景音にクリックが重畳しているように、減少包絡波(図b)ではク
リックの系列が主に聴こえる。このdemonstrationでは、増加包絡波、減少包
絡波の順に再生される。これらの刺激音の物理的な違いは時間反転のみなので、
そのパワースペクトルは全く同じである。それにも関わらず、異なっているよ
うに聴こえるのは、知覚系で時間的に非対称な処理が行われていることを示唆
している。

図a 図b
sound format : μ-law 8-bit 8kHz au-format
size : 20kbyte
- demo1
搬送波800Hz正弦波, 変調波20Hz, 半減期2ms
- demo2
搬送波1600Hz正弦波, 変調波40Hz, 半減期4ms
- demo3
搬送波3200Hz正弦波, 変調波80Hz, 半減期4ms
【参考文献】
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入野 俊夫、Patterson, R. D. , ``音響事象検出・強調の計算理論''、聴覚研究会資料
-
Patterson, R. D., ``The sound of a sinusoid : Spectral models,''
J. Acoust. Soc. Am. 96, 1409 - 1428
デモンストレーション作成プログラム (UNIX, csh)
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akira@rsch.tuis.ac.jp