この作品は、空想的な設定のもとに、アクション要素もとりいれた11分のショート・ドラマである。
大学生の太郎は、進級単位の不足を補おうと教授のもとを訪れる。教授は単位の見返りに、自分の助手となることを要求するが、候補者はもう一人おり、その選択は太郎自身に委ねられていると告げる。なんのことか理解できない太郎。そこへもう一人の候補者であるヒロシが襲いかかる。太郎はやっとのことでヒロシを倒し、教授の助手となる。しかし太郎は、次の候補者から命をつけ狙われることとなるのだった。
本作が描き出したかったのは、平穏な日常生活が突如として暗転し、運命に翻弄されることの不条理性である。人生の選択には、さまざまなリスクが伴うが、その試練を乗り越えていくことの大切さを訴えたいと思った。また本作は当初からのねらいとして、アクションを中心に、ほとんど台詞を用いないドラマにしようと考えていたが、結果的に登場人物の心理描写が、やや足りないものとなったことは反省点である。
映像表現の上では、銃撃戦のエフェクトを中心としたVFXの活用や、アクションシーンの演出と編集を工夫した。アフターエフェクトを全面的に使用し、効果を上げたところもあったが、撮影時の照明の不足から、十分な高速シャッターを使えず、狙ったような効果を得られなかったことなどが課題として残った。
本作の制作をつうじて、映画制作には、スタッフ・キャストの移動や食事、日程管理などのマネジメントが重要であること、作品完成までのチーム・ワークの大切さなどを学ぶことができた。