この作品は、千葉県柏市五香刃物製作所の刃物鍛冶職人、八間川(やまかわ)義人さんが守り続ける関東牛刀づくりの伝統の技を紹介したドキュメンタリー番組である。
幕末から明治にかけ食肉文化とともに伝来した洋包丁は、切れ味にこだわる日本人には使いづらいものだった。そこで関東の刀鍛冶職人が、日本刀と同じように鋼を用いて作り出した洋包丁が「関東牛刀」として全国に知られるようになった。
大量生産・廉価販売の時代にあって、五香刃物製作所では、丁寧で高品質な手作り生産にこだわる。カメラは工房の八間川さんに密着して、関東牛刀の製作工程を追う。百貨店の見学ツアー客や社会科見学に訪れた小学生に、真摯に説明をする八間川さん。その姿からは、関東牛刀の技を、未来に繋いでいきたいという強い思いが見てとれた。
今回の取材を通じて、私たちの生活の周囲には目立たずとも素晴らしい営みを懸命に重ねている方々がいるということを実感した。こうした身近な魅力を映像によって掘り起こし、 地域を豊かで楽しいものとしていくことに貢献していきたいと思った。
本作は、平成27年度、千葉県メディアコンクールにおいて、「最優秀賞・千葉県教育員会 教育長賞」を受賞した。