照明色による音楽の印象変化 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成27年度卒業研究概要集] [平成27年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
西村 明 ゼミ 平成27年度卒業論文
照明色による音楽の印象変化
松川 拓矢

劇場やライブハウスにおいて使用される音楽を盛り上げるために行われる照明演出について研究する。過去の研究では、照明色が音楽の印象に及ぼす影響と音楽と照明の調和について研究している。その結果から一般に照明色が音楽の印象に影響をあたえること、また音楽が本来持つ特徴を助長する照明色が、その音楽と調和していると評価されていることがわかっている。しかし過去の研究の問題点として、一般的に多く用いられる白い照明下での音楽の印象が、他の色の照明下で変化するかどうかわからないことが挙げられる。よって本研究では先行研究で使用された色に「白」を加えた、赤、緑、青、黄、白の5色で研究を行う。また過去の研究ではハロゲン電球の照明を使用していたのが、本研究ではLED照明を使用する。その理由として劇場やライブハウスにおいて近年、LED照明が一般的になっているからである。

実験は暗くした部屋に赤、青、緑、黄、白の照明を照らし、音楽を再生する。被験者には1曲ごとに音楽の印象を11の評価語で評価してもらう。それに加えて音楽と照明の調和も調べる。そして、その結果から、照明色が音楽にどのような影響を及ぼすのか分析し、白い照明下での音楽の印象が、他の色の照明下で変化するかどうかを調べる。

その結果「赤」は他の色よりも音楽を「迫力のある」ものにし、「青」は音楽を「迫力のない」ものにする。明暗に関して「白」より明るい印象与える色は少なく、「青」「赤」は音楽を暗いものにする。「赤」は音楽にかさかさした印象を与え、「緑」は音楽にしっとりとした印象を与える。「緑」は音楽をのどかな印象にし、「赤」は音楽をせかせかした印象を与える。

過去の研究では、情緒的な印象を与える色として「青」が挙げられるが、本研究においては照明の色による情緒的な印象の変化はあまりみられなかった。また、過去の研究では「緑」と調和している音楽があったが、今回の研究では、全曲「緑」は音楽と調和していないことがわかった。さらに過去の研究においては、音楽が本来持つ特徴を助長する照明色が、その音楽と調和すると評価されていた。しかし本研究においては、音楽が本来持つ特徴を助長する照明色が、その音楽と必ずしも調和するとは言えないことがわかった。