漫画ドラゴンボールで使用されたオノマトぺ表現の変化 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成27年度卒業研究概要集] [平成27年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
西村 明 ゼミ 平成27年度卒業論文
漫画ドラゴンボールで使用されたオノマトぺ表現の変化
高橋 亨

オノマトペとは擬音語の総称であり、マンガの情景表現としてオノマトペは非常に重要な役割を持っている。オノマトペの無いマンガは近年ではまず見ることは無い。

平成23年度卒業生、斎藤日歌里氏と平成25年度卒業生、佐野彰氏の二名がオノマトペに関連した研究を行っている。斎藤氏の研究では、長期連載の漫画を調査対象にして、時代の流れと共にオノマトペがどう変化したかを調べた。その後行われた佐野氏の研究では、連載期間ではなく、話の内容、ストーリー、情景によってオノマトペの数が変化するか調べた。

両氏の研究ではオノマトペの数についてしかわからなかったので、私の研究ではオノマトペの表現の変化について調査することした。

この研究では、「ドラゴンボール」というバトルが中心で、「冒険」「努力」「友情」を描いている作品を調査した。オノマトペを抜き出し、分類したところ、話が進むにつれてひらがな、カタカナ、アルファベットの比率が変化していることに気が付いた。その部分に着目し、オノマトペをひらがな、カタカナ、アルファベットに三つ分け、数を数えた。

調査方法は、全42巻の内、第1巻の第1,2話、第2巻から8巻飛ばしで、それぞれ冒頭一話を調査した。そしてオノマトペを抜き出しひらがな、カタカナ、アルファベットの比率を調べた。オノマトペ集計の際のルールは、佐野氏の研究で使用されていたルールを用いることにした。

結果として、序盤の第1巻、第2巻で調査した話ではひらがな、カタカナ、アルファベットがすべて登場していた。最も多く使用されていたのはカタカナのオノマトペだった。その次に多かったのはひらがなで、最も少なかったのは、アルファベットである。その後調査した第10巻以降の話では、アルファベットは使用されていなかった。そして第18巻の話から、ひらがなが減少していた。第34巻以降調査した話の中でひらがなは登場せずカタカナのみになったことが分かった。

集計した結果を考察してみる。まず序盤でアルファベットが使用されていたのに、後半調査した話で使用されなくなっていた理由は、読者のほとんどは子供のため、アルファベットのオノマトペは、馴染みがなく、表現として子供達に伝わりづらいのではないかと考えた。そして次にひらがなが減少していった理由としては、ストーリーが進むにつれて主人公や他の登場人物のパワーが増したのを表現するためではないかと考えた。強さや、鋭さが増した攻撃を表現するのにひらがなでは表現できないと作者が考えたのではないかと考えた。