本研究は、Webサイトを見る際に色とレイアウトによる心理的変化がユーザの利用意欲を操作できるのか。またそのWebサイトの構成についても分析した。Webサイトと一概にくくるもその数、種類は千差万別で膨大なものである。そこで本研究の対象となるWebサイトは、ポータルサイト。さらに一般的にスタートページとなっている検索エンジンサイトを複数列挙して進めていった。Google、Yahoo! JAPANなどをはじめ、色の影響とそのレイアウトの形式を類型化、セマンティック・ディファレンシャル法による分析も交えた。
その結果、確かに色による視線誘導やレイアウトの違いによって利用意欲の差異が見られた。一例としてGoogleの調査結果として五色からなるタイトルロゴによる色彩効果、後退色と進行色による立体感と白い背景が視線を誘導させる効果を持ち、ユーザを迷わせないスピーディな利用実態がうかがえた。またセマンティック・プロフィールの結果として「シンプルで明るく、インパクトは少ないが美しい。好感が持てる良いサイト」という分析ができた。他にもレイアウトの形式として、全体的に逆L字のメニューバーを使用している事や横幅950pxに指定しているポータルサイトが多いという結果が得られた。
一方、利用意欲における直接的要因が色とレイアウトのみの効果であるとは確定できなかった。本研究に利用したポータルサイトの中にもデザイン性に優れているものはあった。しかし、デザイン性のみを追求しても、そこにユーザが有用だと感じられる機能性がなければ継続的な利用意欲が望めない。逆も然り。どれほど分類化されたメニューバーや情報の項目があっても、訪れたユーザがどこから手を付けていいのかわかないようでは利便性があるとは言えない。