法の基本構造と社会的意義に関する基礎研究--法の機能と現実との乖離をめぐる諸問題について-- [東京情報大学] [情報文化学科] [平成26年度卒業研究概要集] [平成26年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
圓岡 偉男 ゼミ 平成26年度卒業論文
法の基本構造と社会的意義に関する基礎研究--法の機能と現実との乖離をめぐる諸問題について--
麥田 圭祐

理念や目的をもって立法された法が、時代の流れを経て事実とのズレが起こってしまう現象について、本論文では研究を進めてきた。そして、この現象を検討するために、風営法とダンス規制の問題を例とした。これは、現在のナイトクラブは風俗営業には値しないとして、事業者側が警察庁側に対して異議申し立てたことが発端となっている。また、ある店舗がナイトクラブかどうかを判断する最終的な基準が、店舗内に居る客がダンスをしているか否かという現場の警察官の判断次第になっていることについても事業者側は異議申し立てた。

この問題は改正案の閣議決定という形で解決されたのだが、では現行風営法の何が問題であったのか。それは、条文の中にある「享楽的なダンスをさせる」という項目である。現在のナイトクラブ内におけるダンスは享楽的なダンスではないということを事業者側は主張し、それが受けいられたのである。

さて、この問題はこうした法の機能が現実に対してズレを起こしたが故に、正しく機能を果たさなくなってしまった一例であるが、法の機能が正しく働くためにはどうしたらよいのか。その答えは、立法時点における法の理念と現実との調和に考えうる。立法者は時代の流れを予測してつねに妥当する法を立法しなければならないし、現実とのズレが起きた場合には、それを対処しなければならない。そして、国民は現実とのズレが起きた法であっても法を守らなければならない立場にあるのだ。