学級集団の人間関係における病理的現象に関する基礎研究-スクールカーストといじめを巡る諸問題- [東京情報大学] [情報文化学科] [平成26年度卒業研究概要集] [平成26年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
圓岡 偉男 ゼミ 平成26年度卒業論文
学級集団の人間関係における病理的現象に関する基礎研究-スクールカーストといじめを巡る諸問題-
藤田 将太

現代の社会病理と言っていいほど、「いじめ」という行為が問題にされている。その中でも学校の「いじめ」では周囲から認知もされにくい、「いじり」「悪ふざけ」などの「いじめチック」なことが注目されてきた。だが「いじり」「悪ふざけ」という現象が日常的に、しかも頻繁に起こることは何かの要因があると考えられる。このような日常的に起こる具体的な原因として地位の差、または上下関係、序列など立場の違う圧力が関係していると考える。ここでの地位の差や序列などは学校集団内では「スクールカースト」という現象として名付けられている。この「スクールカースト」という現象は「いじめ」なのか。それとも「いじめ」とは異なるまた別の学校病理なのか。またどのような要因から児童・生徒たちが上下を認識しているのだろうか。学力? 容姿? 性別? 運動神経?コミュニケーション能力など学校で使われる能力によるものなのか。

その結果、コミュニケーション系、いじり、悪ふざけなどという「いじめ」と外見だけでは判断付かないものであるが存在している。それを踏まえて「スクールカースト」という現象は、地位の差による児童・生徒たちの区別であり、そこには児童・生徒たちが理不尽な苦痛を受け、また行動を阻害されていることがわかる。そのため「スクールカースト」はいじめの一種でもあることが言えると考える。学級というフォーマルな集団であるが実際に起こっているこの「スクールカースト」という現象は、人気や運動神経の良い子で形成された集団や周囲からは地味で静かな子で形成された集団などのインフォーマルな集団で発生していることになる。ここでの上位や下位の区別は、人気だけではなく運動神経やある程度の学力を取得しておくことが区別につながり、人気というものはコミュニケーション能力だけではなく多くの要因の総合的評価だと考える。このように登場して間もない言葉であるため実証的な研究をしていき社会的に理解を深めていく必要がある。