近年のICT(Information and Communications Technology)の技術進歩に伴い、人と人とのコミュニケーション関係が大きく変化している。移動型携帯端末の普及により、老若男女の人々が一人一台の端末をもっている時代である。これにより、われわれはどんな場所でもネットワークに繋がることを可能とした。また、情報技術の発展によりコミュニケーション形態もさらなる変化をしていると考えられる。このどんな場所でも繋がるという行為によって、どのように人は情報を取得および理解するのかについて疑問を抱いた。
本論ではコミュニケーション構造の分析を行い、インターネットメディアを利用した情報伝達が、どのように人々に反映されていくのか。情報の正当性のあいまいさとは、どのような形で生まれてくるのか。また、自己の意思が情報の影響によってどのように変化するかについて検討を行った。これらのことから、情報は情報として送信される前から、送信者も他者の意識に依存するため、単体の情報では正当なものではないといえる。単体の情報でも情報として形成することは可能ではあるが、情報空間にある情報は1つだけとは限らない。他の情報を用いることによって情報を比較し、情報の正当性を図ることによって情報の質が向上される。個人のみでは情報を正当化することは難解なため、他者の意見を取り入れることによって情報を正当化しようとされる。われわれは常日頃この行為が必要である。この行為が煩わしいと感じたとき、情報の整合性が取れなくなるため非常に危険である。情報空間で情報を伝達、共有するという行為は情報を正当化する行為でもあるが、正当化するために使われる情報量が多くなることにより、個人による情報形成の質が鈍り正当性が失われる。