少子高齢化や人口減少がメディアで頻繁に取り上げられている。日本は人口減少に転じていて、今現在で高齢化率が25%を超えるいわば超高齢社会である。少子高齢化による人口減小は経済、財政、医療、福祉、交通などあらゆる分野に影響を及ぼす。それは少なからず社会が縮小することに繋がる。
そのような中で地域社会では人間関係の希薄化が問題となっている。地域社会はそこに暮らす人々にとって、生活の場でもある。地域には生活を営む家族やそこに住まう人々はもちろんだが、学校や企業、商店街、町内会、ボランティア団体など様々な人々や集団が、様々な社会関係を持ちながら存在する。そのような中でなぜ人間関係の希薄化が起こるのか。地域の人口減少などの構造的な問題はその1つの背景として考えられる。いずれにしても、ただ人が地域に住んでいるだけでは、地域社会とは呼べないのではないだろうか。
人間関係の希薄化は、地域社会のもつ機能やそのあり方と大きく関係しているものと考えられる。地域社会の機能やそのあり方はどのように変わっているのか。本研究は人口減少の下にある地域社会の現状を、家族という視点、地域社会における人々の生活、という視点から分析し、地域社会の機能やあり方の変容を考察するものである。