連載漫画におけるオノマトペ含有率変化の調査の追試 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成26年度卒業研究概要集] [平成26年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
西村 明 ゼミ 平成26年度卒業論文
連載漫画におけるオノマトペ含有率変化の調査の追試
森 草多

この研究は、平成23年度の齋藤日歌里氏(以下 齋藤氏)の卒業論文『連載漫画におけるオノマトペ含有率の変化』の追試である。

齋藤氏はページ内におけるオノマトペの含有率を調べ、時代の流れとともにどのような変化がみられるのかを調査した。この研究では、「ページ数」「コマ数」「オノマトペ有りコマ数」「オノマトペ無しコマ数」「オノマトペ数」を数え、1巻分のオノマトペ数から1巻分のコマ数を割ることによって、1コマあたりのオノマトペ含有率を求めた。平成25年度の佐野彰氏(以下 佐野氏)の卒業論文『同作者、同年代漫画におけるオノマトペの含有率の違いについて』はこの計数方法をもとにして実施された。私はこれに協力した。しかし齋藤氏の計数方法では数えることのできないオノマトペなどが発生したため、佐野氏は齋藤氏の計数方法に新しい項目や訂正を加え「新方式」を作成した。佐野氏は、齋藤氏と異なる作品のオノマトペ数を分析した。

私はその「新方式」を使い、齋藤氏と同じ作品のオノマトペ数を数え追試を行うことにした。その結果、齋藤氏の考察が追試後の計数結果でも当てはまるのかを検証する。追試を進めるうえで「新方式」でも解決できない箇所が出てきたので「新方式」を補填した「改方式」を制定し、追試した。

今回の追試で「旧方式」に比べ「改方式」のほうが、オノマトペ数が増加することが分かった。「旧方式」で求められたオノマトペ数が多いほど「改方式」ではさらに多くなっている。これは、コマを跨いだ場合、「改方式」ではその跨いだコマ数だけオノマトペが増えるからである。また、1つのオノマトペが複数行からなっている場合、「改方式」ではその行数分オノマトペが増加するため、「旧方式」に比べ「改方式」が多くなることが分かった。

しかし両作品のオノマトペ含有率を求めグラフにした場合の結果、齋藤氏が考察に利用したグラフと数値にこそ違いがあるが、傾向に違いが生まれなかった。つまり齋藤氏の論文における考察はより一般性のある計数方法(ここでは改方式)を用いても変わることはないだろう。