映像おける効果音の制作手引きとそれに基づく効果音の評価 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成26年度卒業研究概要集] [平成26年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
西村 明 ゼミ 平成26年度卒業論文
映像おける効果音の制作手引きとそれに基づく効果音の評価
宮坂 将史

実際にプロが制作した効果音の作り方は、ほとんど見つからず、実際に自分で試しながら作る事しかないのである。そこで、過去の研究で作られた効果音とは作り方が違うもの、また、作られていないものを、身近な道具を使用して制作することにした。そして、音づくりの現場を撮影し、録音した音をパソコンで編集したものを、効果音づくりの手引きとなるDVDとして制作することを目的とした。その過程において、アニメーション映画の一部における、効果音を制作することにした。抜粋映像作品には、雷の音、雨の音、雨の降り始めの音、風の音、小波の音、川で水が流れ落ちる音があり、これらを全て制作した。使用した道具は、一斗缶、木槌、水を張ったバケツ、ハンカチなどである。

制作した効果音と製品の効果音とはどのような違いがあるか比較、評価する主観評価実験を行った。実験方法は、10人の被験者に製品と自作をそれぞれ絶対評価してもらい、さらに、製品と自作を相対評価してもらった。

結果は、被験者10名中全員が製品の方が映像にあっているという評価を得られた。10人中8人が、製品の方を好きだと評価した。著者は、使用した映像の本来の効果音を参考に、自作の効果音の制作を行った。このため、製品と自作の効果音に対する評価の傾向が似た評価が絶対印象評価実験により得られた。このことから、製品に似たような効果音を作れたのではないかと思う。製品と自作の効果音に対する評価が似ていて、斬新と広い情景以外は自作の評価が低い。これは制作技術や経験が足りなかったからであると考える。また、斬新の評価が製品と変わらなく、両方の斬新さの評価が低い。その理由は、現実にありそうな音を作ることができているからである。そして自作でも現実にありそうな音を作ることができているからであると考える。広い情景に関しても、製品に近い広い情景を表現できていたと考える。

しかし、著者としては製品に似せられなく、改善しなければならないと思っていた箇所も大いにあった。例えば、雷や風の音であるが、その部分を「迫力があった」、「リアルに感じる」という被験者の回答もあった。また、似せられないところが製品との違いになり、個性にもなるのだと感じた。このことから、思考錯誤をして制作した効果音を、様々な人に聞いてもらい、評価や感想を得て改善点を見つけ出し、修正していき、それを幾度となくそのサイクルを繰り返すことで、違和感を与えない、映像に合った効果音、また、人を魅了することの出来る効果音を作ることが出来るのである。