意思決定下における心理構造の研究-決定を巡る不安について- [東京情報大学] [情報文化学科] [平成25年度卒業研究概要集] [平成25年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
圓岡 偉男 ゼミ 平成25年度卒業論文
意思決定下における心理構造の研究-決定を巡る不安について-
飯田 恵子

本論は、意思決定下における心理構造を、決定に伴う不安や迷いという観点から分析したものである。意思決定とは、ある目的達成のために可能な限りの選択肢を挙げ、結果を予測しながら、自分の価値観や基準に照らして選択していくことである。しかし、人は時としてこの意思決定において、「決められない」という事態に遭遇することがある。中でも「決定の検討を継続する」という時、精神的な不安感情を呼び起こすことがある。不安は、個人の主観によるものであり、初めての体験や新たな状況、確実でないことに直面したときに起こるとされ、予期できない変化に由来する。確信がない中で「自分で決めなければならない」ということを自覚したとき、改めて「決められないこと」を意識する。決めたくても決められないという状況が迷い、焦り、不安をもたらすのである。また、決められないことによる不安に加えて<時間的制約>があることにより、さらなる不安や焦りが生じることになる。この不安や焦りは、さらに、決めることに対する負担が増す原因となる。自分の意見が持てないために決定ができないとの見方では十分な説明ができない。むしろ、能動的に決定を行う中で決定できず、そして、それが迷い、焦り、不安をもたらしているのである。すなわち、決定行為が心理的なストレスとなるのである。その中で人は「決められないこと」による心理的負担の問題が生じる。そして、決められないということから生じる不安は日々の生活に当たり前に存在する問題であり、それを避けて通ることはできない。