日本のファッションと中国のファッションの違い [東京情報大学] [情報文化学科] [平成25年度卒業研究概要集] [平成25年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
柴 理子 ゼミ 平成25年度卒業論文
日本のファッションと中国のファッションの違い
王 希西

ファッション産業は、紡績、染色加工、織製、縫製、アパレル、流通、小売という、繊維産業における多段階工程の最終的な出口であるとともに、食、住、サービスを含むライフスタイル全般において重要な要素を占めており、生活文化関連産業として、様々な産業とも密接に関連しているとともに、大きな経済利益を確保することができる可能性を有する付加価値産業である。

日本の技術や感性によって作り出される付加価値の高い製品は、アジア諸国を中心とした海外からも非常に高い評価を得ているとともに、中国を中心としたアジア諸国の市場が拡大している状況に鑑みると、アジア諸国の経済成長を取り込み、世界市場の獲得へ打ち出していけるポテンシャルも大きい。

 国際競争力が激化している現在、ファッション産業においては、個々のデザイナーのクリエーションや、高機能な一部の素材など、個別には世界トップレベルの評価を受けているものも一部存在しているものの、全体としては、国際競争を勝ち抜く力を有していないのが現状である。また、アジア諸国を始めとする海外において、日本市場のファッション性の豊かさが高く評価されていることや、日本の雑誌が多く売れるなど、ファッションに対する関心が非常に高い一方で、それが具体的な海外市場の獲得には必ずしも結びついていないのも現状である。

ファッション産業は、生活と密接に関連しており、また、アジアを中心とした世界から注目を集める需要者目線でデザインし供給するデザイナーズブランド以外のブランドも含まれるものである。そして、日本と中国ファッションの特徴として、こうしたあらゆる分野のファッションが存在し、それが互いに融合し、新たな価値を生み出しているという点が挙げられ、またそれが強みにもなっている。すなわち、日本のファッション産業と中国のファッション産業の成長のためには、当然、互いに密接に関連しあうものの、ビジネスモデルや構造が異なる、こうしたデザイナーズブランドやそれ以外のブランドについて、それぞれの分野において発展の方向性及び対策を講じることが必要であると共に、生活文化関連産業全体の成長のためには、こうした強みを集約し、全体として日本のブランド化と中国のブランド化を図っていくことが重要である。