深夜アニメ、というと、深夜に限られた青年ファンが視聴するものというイメージがあるが、近年では「アニメ聖地巡礼」を利用した街おこしが注目を集めたり、深夜アニメの主題曲が紅白歌合戦で歌われるなど、一般層へのアニメ文化の広がりも多々見うけられる。
しかし、そんな深夜アニメには様々な課題や問題が存在する。私の出身は福井県である。福井県には民放テレビ局が2局しかなく、子供向けアニメすらまともに見られない状態であった。さらに、深夜アニメをリアルタイムにテレビで見ることは非常に難しいということを実感した。この経験からテレビアニメ放送の地域格差について興味を持ち、それについて詳しく解明したいと思ったのが本研究の動機である。
深夜アニメの地方格差問題は、我が国における経済や文化の大都市圏への一極集中という大きな問題の一現象という捉え方もできる。
本論文では深夜アニメという放送ジャンルに注目し、全国の地域と放送局、製作会社などの歴史、傾向について掘り下げ、深夜アニメの地方格差状況が生み出されるしくみと、社会的デメリット、さらに格差解消に向けた動向について読み解いていく。