バンダイ、コトブキヤ同名シリーズに見る戦略の違い [東京情報大学] [情報文化学科] [平成25年度卒業研究概要集] [平成25年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
小宮山 隆 ゼミ 平成25年度卒業論文
バンダイ、コトブキヤ同名シリーズに見る戦略の違い
浅田 勝洋

2013年秋にコトブキヤから1/400スケールのエヴァンゲリオン初号機が発売されるというアナウンスがあった。エヴァンゲリオン初号機のプラモデルは、ガンダムシリーズで知られるバンダイからすでに発売され、ヒット商品にもなっている。わざわざコトブキヤが改めて発売する狙いを知るため、実際に組み立てることを通じて比較し、それぞれの企業戦略についても考えることにした。

バンダイのエヴァンゲリオンキットから組み立ててみた。バンダイ製キットはノンスケール仕様でアニメの設定に忠実ではないが、作りやすさが前面に出ていて、いわゆる「対象年齢」より低い年齢層でも作れそうなほど組み立てやすいものだった。パーツも組みたて後でポロポロ取れるようなこともなく、うまく組み立てられずにストレスを感じるようなことはまずない。改造も出来る層からただ組み立てるだけの層まで、幅広く楽しめる出来になっていた。

一方のコトブキヤ製は、エヴァのプラモシリーズでは初となる1/400のスケールキットである。アニメの設定に忠実なキットで、バンダイのノンスケールと比べるとパーツがとても小さい。キットの立ち姿はバンダイ製よりスラっとしている。ギミックが凝っており、所々エヴァオタクでないと気づかないような部分にまで手を加えている。その反面、小さいパーツをいくつも重ね合わせて作らなければならない部分があり、部分ごとを完成させるまでにパーツがずれたり、ポロっと取れてしまうなど多少ストレスがかかる。バンダイのように広い層を狙ったものではなく、プラモやエヴァのコアなファンを狙ったものであろう。

スケールキットに徹するというのは「模型」のいわば王道である。そこにこだわらずに「大衆化」に成功しているバンダイ。あえて「こだわり」を捨てずに「とがった」製品を売ろうというコトブキヤ。それぞれの戦略が具体的な製品を通じて感じられるとともに、製品を通じてそれぞれの企業イメージが磨かれていくことを肌で感じることができた。