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西村 明 ゼミ 平成25年度卒業論文
Wii用ゲームソフト「キキトリック」で遊ぶことによって雑音中の語音明瞭度は改善するのか-TVさんの場合-
宮本 和輝

任天堂と株式会社オトデザイナーズが開発したWii用ゲームソフト「キキトリック」が任天堂より発売された。このゲームは多数のキャラクターたちが実際の音声をさまざまに変調した音声によって喋り、それを聞き取り回答するというゲームである。このキキトリックをプレイすることによって難聴者の語音明瞭度が改善するのではないかと思った。しかし実際の難聴者に協力してもらうのは難しいため、ノイズを混ぜた語音検査表を使い、このゲームソフトを用いた訓練によって、雑音中の音声聴取における語音明瞭度が改善するかどうかを調べる。向上するならば過去の研究者において示された" いわゆる"脳トレーニング"を用いた訓練と同じく、言語聴覚士を頼らずに自宅で言葉の聞き取り力回復のトレーニングが可能になる。今回の実験ではTVさんというキャラクターを用いる。このキャラクターは、音声のフォルマント周波数のみの合成音声で喋るキャラクターである。

まず被験者全員に純音聴力検査を行い聴力のいい耳で語音聴力検査を行った。語音検査表の音声にノイズを混ぜ擬似的な難聴を再現し語音聴力検査を行った。その後「キキトリック」を用いて1週間に3回程度遊んでもらうことを4週間続けてもらった。4週間後に再度ノイズを混ぜた語音聴力検査を行い分析を行った結果、全体の正答率の平均はわずかに上がっていた。しかしt-検定を行った結果、平均の差は有意ではないことが分かった。この結果からキキトリックを用いた遊びにより、語音明瞭度は改善しないということがわかった。しかし4人中3人、語音聴力検査の正答率がゲームプレイ前に比べてプレイ後のほうが上がっていたため、語音明瞭度が改善する可能性は残されているのではないかと思う。