同作者、同年代漫画におけるオノマトペの含有率の違いについて [東京情報大学] [情報文化学科] [平成25年度卒業研究概要集] [平成25年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
西村 明 ゼミ 平成25年度卒業論文
同作者、同年代漫画におけるオノマトペの含有率の違いについて
佐野 彰

オノマトペとは擬音語の総称であり、マンガの情景表現としてオノマトペは非常に重要な役割を持っている。オノマトペの無いマンガは近年ではまず見ることは無い。過去の研究によると、戦前マンガのオノマトペの無音率が80%に対して、戦後マンガは約40%にまで半減していた。さらに、平成18 年代の作品になると0%になっていた。しかし、時代が進むにつれて単純にオノマトペが増えるという事ではなく、時代の変化によって"マンガの中で描写される物"が変わり、その変化をマンガが映し出してオノマトペが増えると推測されるマンガがあることが分かった。時代は進むにつれて生活様式や文化は多様に変化するため、マンガの中におけるオノマトペの数も時代の流れと共に、ジャンル、作者の作風によって変化するのではないかと考えられている。また、話の大筋が変わった事や、作画担当者の画力の変化によってオノマトペ以外の表現方法を用いた事でオノマトペが減少したと思われる例外もあった。

そこから、さらに範囲を狭め、オノマトペの変化が単なる時代ではないとしたら、同じ作者で同年代の短編読み切り作品を研究対象としたとき、どういう変化を起こすのかを調べた。対象は、サッカー漫画なのだが、1話1話主人公が変わり、各話ごと試合をしたりしなかったり、主人公のキャラが様々で、完全に短編集として扱った。

その結果、話の内容により、オノマトペの変化が見られることがわかった。人と人が真面目に話し合ったり、青春を主に描く話ではオノマトペが少なく、試合を主に描く話では、オノマトペが2倍から3倍、多くなっていた。

この作者に限定される結果ともいえるが、掲載年代が古くなるほどオノマトペが多く、オノマトペに頼っている部分があったのか、最近になるにつれてオノマトペが少なくなっていた。そして、ストーリーによって、表現する方法がかわり、オノマトペの数が変化するということである。