バーチャルサラウンドのサラウンド再現度について [東京情報大学] [情報文化学科] [平成25年度卒業研究概要集] [平成25年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
西村 明 ゼミ 平成25年度卒業論文
バーチャルサラウンドのサラウンド再現度について
大塚 裕

日本の一般家屋事情ではサラウンドを楽しむ機器や部屋の用意は容易いことではない。そういった中で誕生したのが2つのフロントスピーカーだけであたかもサラウンドを再現するという、バーチャルサラウンドである。そこで、バーチャルサラウンドはどれだけ本物のサラウンドに近づいているのか、ステレオ、サラウンド、バーチャルサラウンドを比較、評価することにした。

今回の研究を行うにあたり、過去のステレオとサラウンド再生における音の評価を比較した研究を参考にした。今回はバーチャルサラウンドがどれだけサラウンド(5ch)を再現できいるのか評価することを目的とする。

今回の実験ではONKYOのTheater-Dimensional技術が使われているアンプを使用した。評価音源は、映画のSTAR WARS EPISODE1、007 Die Another Dayの音声トラックのみと、オーケストラの演奏の音を用意した。再生方式は、ステレオ、サラウンド、バーチャルサラウンドの3種類である。被験者の音響ゼミ生5人には、これらの音源と再生方式を組み合わせたものを聴取して、印象を評価してもらった。

結果は、バーチャルサラウンドとステレオでは、バーチャルサラウンドの方が、5chサラウンドに近い評価をされた。音の前後移動や広がり、躍動、広い情景といったいわゆる立体感と表すような音、まさにサラウンドの得意分野と言えるような部分では、バーチャルサラウンドがある程度効果を発揮するといえることがわかった。映画のワンシーンなど、立体的な印象の強いシーンで最も高い評価をされたのはステレオだった。これは、過去の研究と正反対の結果である。この結果については、完全な想像であるが、ステレオの開放的や広がりの評価が高い理由は、実験を行った部屋が、ホールで行った過去の研究と違い、あまり広くなかったため、その中で前後から音を聞くと圧迫感を感じてしまうのではないかと考えた。