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西村 明 ゼミ 平成25年度卒業論文
Wii用ゲームソフト「キキトリック」を用いた訓練による語音明瞭度への影響〜ノイズ君の場合〜
浅見 尚史

Wii用ゲームソフト「キキトリック」は株式会社オトデザイナーズと任天堂が開発し、任天堂から2012年に発売された。このゲームはかわいらしいキャラクターたちが実際の音声をさまざまに変調した音声によって喋り、それを聞き取って回答するというゲームである。このキキトリックをプレイすることによって難聴者の語音明瞭度が改善するのではないかと思った。しかし実際の難聴者に協力してもらうのは難しいため、ノイズを混ぜた語音検査表を使い、キキトリックを用いた訓練によって、雑音中の音声聴取における語音明瞭度が改善するかどうかを調べた。向上するという結果が出たなら言語聴覚士に頼らず、尚且つ楽しみながら自宅で聴力回復のトレーニングが可能になる。今回の実験ではノイズ君というキャラクターを使用する。このキャラクターは音声信号をいくつかの周波数帯域ごとに分割し、それぞれの帯域信号を同じ強さと周波数帯域をもつ雑音に置き換えた劣化雑音音声で喋るキャラクターである。ノイズ君を選択した理由は5パターンあるキャラクターの中で一番聞き取りやすかったからである。

まず被験者全員に純音聴力検査を行い聴力の良い方の耳で語音聴力検査を行った。語音検査表の音声にノイズを混ぜ擬似的な難聴を再現し語音聴力検査を行った。その後「キキトリック」を用いて1週間に3回程度のプレイを4週間続けてもらった。4週間後に再度ノイズを混ぜた語音聴力検査を行い分析を行った結果、全体の正答率の平均はわずかではあるが上がっていた。しかしt-検定を行った結果、平均の差は有意ではないことが分かった。この結果からキキトリックをプレイすることによる語音明瞭度の改善はしないということが分かった。しかし有意な差ではないが語音聴力検査の正答率がゲームプレイ前に比べてゲームプレイ後の方が上がっていたため、語音明瞭度が改善する可能性は残っているのではないかと思う。