音は多くの場合、振動体の共振によって生成される。共振状態では定在波による振動モードが形成される。平板の振動に関しては、砂などの粒子を利用すると振動が静止している節の部分に粒子が残留し、振動モードを可視化することができる。振動モードの可視化は物理の教材として有効であり、また様々な模様を描くことからアートとしても魅力がある。
本研究ではこの振動モードを可視化するためのプログラムを開発し、その有効性を検証した。励振には小型のスピーカーの可動部を用い、対象となる板材にはボール紙などを使用いた。個々の振動モードはそれぞれの共振周波数によるサイン波で励振されるが、その周波数の調整は簡単ではない。対象となる振動体の形状や、わずかな支持方法の違いなどで変化するからである。そこで予測される複数の共振周波数を初期設定しておき、それぞれの周波数を微調整できる仕組みを取り入れた。これによって、振動体を取り付けた後、それぞれの共振周波数をあらかじめ微調整しておくことができ、瞬時に共振周波数を切り替えてさまざまな振動モードのパターンを可視化することが可能となった。