残響は、1つ1つの反射音がわずかな時間遅れの信号として重なった結果得られる現象である。人工的には、時間遅れの信号の重ね方の試行錯誤により、自然現象とは異なる電子音独自の残響効果が得られるようになった。
本研究では、音源にその遅延信号を重ねるフィードフォワード形遅延方式、遅延信号の再利用によるフィードバック形遅延方式、フィードフォワードとフィードバック形遅延方式を多段接続したオールパスフィルターの構成の3種類の方法を検討した。プログラムの構成としてPureDataというビジュアルプログラミングソフトを用いた。
実験を通して、フィードフォワード形遅延方式で、十分な残響効果を得ることができなかったが、フィードバック形遅延方式、フィードフォワードとフィードバック形を多段接続したオールパスフィルターの構成2つは、密度の高い遅延信号が重ねられ、十分な残響効果を得ることが出来た。特に後者では、より自然でクセのない響きを得ることができた。