私はゼミに所属してから展示物を紹介するためのwebサイトの制作に携わり、文化祭などでwebサイトを展示する機会がありましたが、それらの紹介サイトをよく見ようとする人は決して多くありませんでした。せっかくの展示物なので、もともとそれらに興味が無い人の興味を引く紹介コンテンツを作りたいと考え、AR(拡張現実)を使ってみようと思いつきました。ARという言葉が知られ始めて数年経ちますが、まだ日常でよく使われている技術というわけではないので、これで展示物の紹介をしたら珍しさからより多くの人の興味を引けそうだと考えたからです。
実作業ではadobeのflashでARコンテンツを作ることのできるFlartoolkitを使い、マーカーをwebカメラが映すと3DCGの展示物が表示されて動き、紹介音声が流れるものを作りました。非常に簡単な作りで動く時間も短いものですが、実現するのにはpapervision3Dという初めて触るソフトが必要であったり、動く3DCGモデルを表示するのにも別の有料ソフトに頼らなければいけないなど、ARコンテンツはまだ気軽に作れるものではないと感じました。
制作の結果、ARを展示物の紹介コンテンツとして使うのはある程度までなら有効だと思いました。「ある程度」というのは、展示物にもともと興味が無い人に見てもらう程度までということです。ARを使って3DCGの展示物を表示させるだけでも見ていて面白いので、人の目を引くことはできると思います。けれども、ARコンテンツを作る労力は大変ですし、展示物の詳細な紹介はむしろやりづらく、音声や動くARの画面だけで展示物の説明をするよりもwebページなどでしっかり読んでもらうほうが分かりやすく思います。月並みなようですが、ARだけやwebページだけではなく、それらをうまく役割分担して展示物の紹介をしたほうが、より多くの人の興味を引いて、展示物の紹介も分かりやすくできるという結論に落ち着きました。