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伊藤 敏朗 ゼミ 平成24年度卒業論文
ドキュメンタリー『ちばサイが行く!〜科学する心を育む・ちばサイエンスの会〜』の制作
滝口 翔平

この作品は、千葉の市民グループ「NPO ちばサイエンスの会」、略称"ちばサイ"のメンバーたちによる、科学教育活動を紹介したドキュメンタリー番組である。

"ちばサイ"は、「市民レベルで科学を楽しみ、学び、考えながら、その活動の輪を広げていく」ことを目的に、2001年7月に発足した。元学校教諭や市役所職員、個人的な科学好きの人などさまざまな顔ぶれのメンバーが、千葉の子どもたちを対象に、年間30日をこえる自然観察会や実験・工作教室を開いたり、会報やメールマガジンの発行など、多彩な活動を展開している。

番組は、2012年5月、千葉市ユースホステルで行われた「金環日食観察会」の模様から始まる。"ちばサイ"のメンバーが講師となっての前夜の講習会、そして日食当日、雨雲の一瞬の隙から日食の観察に成功、参加者から歓声があがる。6月の同会の通常総会の様子を挿んで、7月、千葉大学で行われた手作りロケットの工作教室の場面となる。親子が力をあわせてロケットを作り、雨のグランドに出て打ち上げに挑戦する。"ちばサイ"のメンバーがロケットを懸命に手で温め、打ち上げに成功すると、参加した子どもが大喜びしてメンバーとハイタッチする。8月、千葉大学の実習林「みほの森」(東金市)で、2泊3日の「サイエンスサマーキャンプ」が開催される。キャンプや実験体験を通じて成長した子どもたちは、最終日にみごとな研究発表をおこなう。最後に、千葉県総合スポーツセンターで行われた「ちばサイ宇宙の学校」の模様の映像に重ねて、"ちばサイ"のメンバーたちが、会の活動の理念や、ボランティア活動の想いを口々に語り、番組は終わる。

この作品では、市民による手作りの生涯学習活動が、子どもたちの科学的好奇心をみごとに育てている姿を記録し、伝えたいと思った。"ちばサイ"のイベントに密着することで、子どもたちの心の中に「科学する心」が芽生え、成長していく様子を、うまく捉えることができたと考えている。苦労したのは、「サイエンスサマーキャンプ」の取材で、初日と2日目の撮影に一人であたったため、多くの班に分かれて並行して行われる体験実験の全容を追うことができなかった。だが、猛暑の中、こまめに歩きまわって、少しでもこのイベントの魅力を記録し伝えることに努めた。

今回の取材で、子どもたちが科学に興味・関心を抱くことでこそ、人類の未来は切り拓かれていくということ、それは一見高遠な理想のようでいて、実は地道な市民活動の積み重ねで実を結ぶことができるということを理解できた。そんな理念のもとに、嬉々としてボランティア活動に勤しむ"ちばサイ"のメンバーの方々には畏敬の念すら憶え、自分も将来は、このような活動に積極的に関わっていきたいと思った。

本作は、平成24年度、千葉県メディアコンクールにおいて、「優秀賞・千葉県視聴覚ライブラリー連絡協議会長賞」を受賞した。