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伊藤 敏朗 ゼミ 平成24年度卒業論文
観光PR番組『銚子電鉄で行く6.4キロの旅』の制作
大胡 辰彦

この作品は、千葉県銚子市の銚子電気鉄道と、その沿線の風物を紹介した、銚子市の観光PR番組である。

銚子電気鉄道(銚電)は、銚子駅から外川駅までの6.4キロを結ぶローカル鉄道である。番組はJR銚子駅からの乗り換え方法の説明から始まる。その隣の駅で、同鉄道の本社がある仲ノ町駅の車庫や検車場を見た後、観音駅に移動、この駅舎内で30年営業を続ける名物のたい焼き屋さんを紹介する。列車は灯台を望む風景の中を走り、犬吠駅に到着する。特徴的な駅舎の説明につづき、駅構内のお土産屋さんで銚電名物「濡れ煎餅」の製造の実演を見たり、駅近くの君ヶ浜や犬吠埼灯台を紹介する。列車は終点の外川駅へ到着、「外川ミニ郷土資料館」で、銚電や外川漁港の歴史などの展示を見て、館長の話を聞く。最後に花火大会の模様などに重ねて銚子の魅力を訴え、番組はおわる。

この作品では、生まれ故郷の銚子から離れて暮らすようになったことで気づかされたこの土地の魅力というものを、市外や県外の人々に伝えたいと思った。一人で取材をおこなったことで、機動力を活かしたきめ細かい取材ができたと思う。例えば犬吠駅のお土産屋さんで、煎餅を焼きながら上から押して平らに延ばす作業など、地元の人でもあまり気に留めないところだが、数年ぶりに聞いたその音は独特で、インタビューして詳しく説明を聞くことができた。

しかし、銚電のローカル線ならではの旅の楽しさとか、いっぽうで住民の日常の足として欠くことのできない存在であることなどは、じゅうぶん描くことができなかった。鉄道社員と乗客との触れ合いや、四季折々の沿線風景などを、もっと撮っておかなくてはならなかったことに、編集を始めてから気がついたが、すでに季節は変わってしまっていた。番組を見た人からも、どこに重点があるのかわからないという指摘が多かった。事前のリサーチや構成の検討を怠り、番組としての完成イメージが曖昧なまま、漫然とカメラを廻してしまったことが悔やまれる。

取材中、ご協力いただいた銚電社員の皆さんや、インタビューにこたえて下さった方々の親切に触れて、あたたかいものがこみあげてきた。この人情のあたたかさこそが銚子の魅力なのだということを、あらためて噛み締めた。