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伊藤 敏朗 ゼミ 平成24年度卒業論文
ドキュメンタリー『ちばの親子三代夏祭り〜おどれ!こどもの夢・未来〜』の制作
尾林 克哉

この作品は、2012年8月19日、千葉市の中心街を舞台に開催された、「千葉の親子三代夏祭り」(主催:千葉市を美しくするまつり部会)の模様を記録したドキュメンタリーである。

「千葉の親子三代夏祭り」は、昭和51年、千葉開府850周年を記念して第1回がおこなわれ、今年で37回目となる。

番組は、祭りに先立つ8月1日、千葉市役所における準備会議の模様から始まる。今年のテーマ「おどれ!こどもの夢・未来」のコンセプトの確認、パレードの段取りや来場者の誘導方法、ごみの処理方法などが綿密に打ち合わされる。次いで18日の前夜祭をはさんで、19日の本祭り当日を迎える。開会宣言に続いて、祭り太鼓の演奏やパレード、神様を載いた御輿と山車の「渡御」の模様、そして祭りのハイライトである「親子三代千葉おどり」の盛り上がりなどをカメラにおさめた。最後に閉会式となり、「千葉の三本締め」で、2日間にわたった祭りが締めくられた。

この祭りの趣旨は、その名が示すように、核家族が増え、地域の結びつきが希薄になりがちな現代にあって、親・子・孫にわたる家族の絆や地域とのつながりをたしかめあい、より強いものとしていこうというものである。本作では、親子三代にわたって祭りに参加している家族の姿を重点的に追いながら、市民が心から地域のイベントを楽しんでいる様子を伝えようと思った。そのため、さまざまな方にインタビューして、その声をひろういっぽう、当日の状況がよくわかるようにロングショットで全体像をおさえつつ、パレードなどでは手持ちで躍動感のあるカメラワークをおこなうなど、工夫しつつ撮影した。その成果として、15分という短い時間ながらも、祭りの雰囲気がよく表現できた作品になったと思っている。番組を見た人からも、「臨場感が伝わってきた」という感想をいただくことができた。一方、「単調で間延びしている」、「インタビューをもっと増やしてもよかったのでは?」という指摘もあった。事前の準備が足らず、当日の流れを十分に理解できていなかったことや、急に降り出した雨への備えができていなかったことなども反省点である。

祭りで多くの人々の笑顔に触れて、地域の祭りの楽しさや意義をあらためて認識できたこと、その裏側でイベントを支える人々の尽力する姿に接したこと、そして取材に際しては、誰かの指示に従うのではなく、自分自身で考え行動したことなどが貴重な体験となり、学びとなった。このような経験によって、技術的なスキルアップのみならず、心の成長もできたと感じている。

本作は、平成24年度千葉県メディアコンクールにおいて、「優良賞」を受賞した。