現在、我が国を取り巻く状況は非常に厳しい。震災や円高の影響で製造業を中心とした多種多様な産業が苦境に立たされているが、これは「不況に強い」とされる出版業界もまた、例外ではない。いったいなぜ、このような事態になってしまったのだろうか。
本論文では、出版業界という大枠ではなく「漫画」について記述する。日本の漫画業界は、一年間に発行される雑誌、書籍の1/3を占める非常に大きな分野である。この分野が不調である原因を調査し、解析することが出来れば、大枠そのものにも応用することが出来るのではないか、と考えている。
出版業界の不調の原因を、?経済的な要因、?インターネットをはじめとした新メディアの台頭、?テレビなどの既存メディアの影響力、という三つの観点から見ていく。その上で、これから不況を克服していくためには、これらの要因とどう向き合っていくべきか、どのように活用していくべきか、という考察も併記する。
漫画だけに留まらない出版不況が、今後どのように展開していくか、またそれに対して業界がどのような対策をとって行くべきか、というのが今後の課題である。