日本では現在総人口の8割がインターネットを使っている。その弊害として指摘されるのが、ネットに生活の大半を費やしてしまう「ネット依存症」である。この「ネット依存症」のを、概念、原因、類型、メディア接触の特徴、対処法に分けて考察し、現代日本社会において持つ危険性について考察した。結果として、以下のことが明らかになった。利便性の誘惑に対して、情報の氾濫という事実に、個人としても社会としても十分な対応がされていない。それどころか、たとえば、「ネット依存症」を軽視している例として、「個人の問題」、「自己責任」といった言葉で個人に原因を帰属させる言説がまかり通ることをみれば、ネットでつながることを強調すればするほど、「ネット依存」者はつながりから排除されていく--「うまく他のネットユーザーとやっていけないのは自分のせいだ」として--という皮肉な状況が生じているのである。