映像の印象及び映像と音楽のテンポの調和感における映像の視点と物体の移動速度及び音楽のテンポによる影響 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成24年度卒業研究概要集] [平成24年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
西村 明 ゼミ 平成24年度卒業論文
映像の印象及び映像と音楽のテンポの調和感における映像の視点と物体の移動速度及び音楽のテンポによる影響
只野 純平

映像の印象について、視点と物体の移動速度、音楽のテンポの影響について実験を行った。過去の研究では、映像素材の速度と画面に現れる映像素材の個数(密度)を変化させ、音楽の調性やテンポを変化させたとき、映像の印象が変化する様子を観察した研究が行われている。この研究では、速い映像には速いテンポの曲が、遅い映像には遅いテンポの曲が調和した。密度は、高密度の映像には速いテンポの音楽が、低密度の映像には遅いテンポの音楽が調和した。明るさとスピード感は、音楽のテンポが速いほど、明るい印象・速い印象を与えた。面白さについての関係は認められなかった。

過去の研究では、物体が画面を横切る速さと音楽のテンポの変化に伴った映像の印象を調べていた。今回の研究では、過去の研究との違いとして視点・移動速度と音楽のテンポに注目した研究を行った。そこで、仮想世界での移動速度を変えず、視点の遠近を変えて物体が画面を横切る速さを変えた。視点の違いにより、仮想世界上の実際の速さと、画面を横切る速さのどちらが映像の印象を変化させるのかを検討する。

実験は被験者10人に対して映像の印象評価をさせた。呈示した映像素材は、3次元CGソフトウェアを使って作成した。条件は、視点が「遠い」・「近い」、仮想世界の移動速度が「速い」・「遅い」を組み合わせた4条件である。音楽は2曲を使用し、それぞれ「速い」・「普通(元の曲)」・「倍」の3テンポ6条件を作成した。映像素材と音楽素材を組み合わせた全24条件を被験者ごとにランダムで並び替え、スクリーンに投影して呈示した。

実験の結果、「明るさ」・「面白さ」・「スピード感」・「調和」の評価は、過去の研究と同じ結果になった。視点による違いは見られず、画面上を物体が横切る速さよりも仮想世界上の実際の速さで印象を決定していることがわかった。また、視点の変化は各印象に影響を及ぼさないこともわかった。