ビルボードチャートにおける長調と短調の割合の再分析及びその他要素の時代分析 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成24年度卒業研究概要集] [平成24年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
西村 明 ゼミ 平成24年度卒業論文
ビルボードチャートにおける長調と短調の割合の再分析及びその他要素の時代分析
関根 紘和

近年、日本人の音楽の好みが変化している事が判明している。日本人は古くから、演歌によく使われるような短旋法音階を好んで使われていた。しかし近年、西洋音楽の導入により短旋法音階から、長旋法音階の音楽に変化した。

そこで、日本人のような音楽の調性の好みの変化がアメリカでも起こっているのではないのかと考え、ビルボードチャートの長調、短調の割合を調査し、アメリカ人の音楽の好みが時代により、どう変わってきたのかを調べる事にした。また、過去にこの研究を行った3名の長調と短調の判定結果と比較し、判定の信頼性を増やすことを目的とした。更に、調性以外に、BPM、メインボーカルの性別、コーラスの有無と性別、曲の長さについても調査し、年代による傾向を調査する事にした。

研究方法は、アメリカのビルボードチャートの1950‐2009年のヒット曲TOP20 を収集し長調、短調か判断した。そして、過去の3人のデータと共に長調、短調の割合の比較を行った。

その結果、調性については1955年〜1984年までは長調が目立ち、1985年〜2004年まで短調が増え、1995年〜2004年に関しては短調が5割を超えた。今回新しく加えた2004年〜2009年に関しては長調が6割近くに増えているという結果になった。過去の分類と同様の傾向は見てとれたが、曲ごとに分析すると過去の3人の調性判定と異なる判定が1995年〜2004年に約半数あった。この事から1曲単位では感じ方は人によって違い、調性判定を素人の人間に行わせる事は困難である事が言えた。

調性以外では、曲のテンポは、1955年〜2004年までBPM=121以上のテンポの曲が減少し、BPM=120以下のテンポの曲は増加傾向にあった。メインボーカルとコーラスの性別については女性の社会進出と思われる女性アーティストの増加が年々みられるようになった。曲の長さについても、1950年代は2分台と極端に短いものが8割を占めていたが、最近では6割が4分台の長さに落ちついている事がわかった。

時代や社会とともに、ヒットする曲のもつ要因が変わっていく事がこの研究で判明した。