音楽聴取による作業効率への影響 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成24年度卒業研究概要集] [平成24年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
西村 明 ゼミ 平成24年度卒業論文
音楽聴取による作業効率への影響
川俣 志織

今日、携帯音楽プレーヤーの普及により音楽を聞くことは身近なものになった。それにより、何か作業をする際にも音楽を聞きながら作業を行なう人も多く存在する。作業効率を上げるためにBGMとして音楽をかける工場や、モーツァルト「二台のピアノのためのソナタ、ニ長調、K448」の曲を聞かせると空間的思考能力を測定する知能検査の成績が良くなる、という実験結果も挙げられているほどだ。果たして、実際に音楽を聞くことによって作業効率に結びつくのか、という疑問から、調べることにした。

この研究の目的は音楽聴取による作業効率への影響を調べるものである。そこで、集中して何か作業をする時に音楽があることによって作業効率が増すのか、またその音楽の種類によって変わるのかを調べるために、モーツァルトの「二台のピアノのためのソナタ、二長調、K448」の他に、被験者のあまり聞かない音楽として「佐渡おけさ」、無音の状態、さらに被験者の好きな曲を使用した。それらを3分間ずつ聞きながら、空間的思考能力を図るための簡単なIQ問題を作業負荷テストとし、12名の被験者に各4回行なってもらった。また、曲の印象によっても影響は出るのかを調べるため作業負荷テストを行う事に曲の印象評価、さらに主観的に集中できたかどうかについても回答してもらった。

作業効率を作業負荷テストの点数として分析を行った結果は、被験者ごとにばらつきはあるものの、平均して見ると佐渡おけさが、一番点数が高いという結果になった。そこで、次に曲の印象評価を基に、主観的にどの程度集中できていたのか、また曲の印象がこの主観的集中度を左右するのかを相関係数を用いて調べた。すると、曲の印象評価と点数、主観的集中度と点数の相関関係は、どちらとも相関係数は非常に低く、曲の印象評価や主観的集中度に関わらず、点数には影響がないということがわかった。

曲ごとの主観的集中度のみを見たときでは、音のない状態での集中度が最も高くなり、被験者に自由記述してもらった集中できたかどうかの理由として、音がないことで他からの影響が何もなかったため目の前の問題に集中できたという回答が多く見られた。そして、音楽聴取しながらの実験では大半が、音楽が邪魔、音楽に意識がいってしまい聞いてしまったことで集中できなかった。という傾向が見られた。

よって、今回の実験において、音楽を聞くことで作業効率が上がるという結果は得られなかった。