本研究では、大学が実際に行なっている大学入学者向け広報戦略とアドミッション・ポリシー(以下AP)を活用した今後の大学業界の広報戦略における課題について検証していく。
近年の少子化に伴う18歳人口の減少や新設大学などの影響で、2007年には大学は全入時代に突入したと言われている。受験生には恵まれた環境となったものの、大学側にとっては逆風であり、学生確保の状況は厳しいものである。大学業界は競争の激化の一途をたどっている。競争の激化する大学業界の中で、いかに学生に対する満足度を高め、大学の特徴を差別化していけるかが大きな鍵となるのではないか。
また選ぶ側である受験生やそのご両親、高校の教員の方には多くの情報の中での比較を要求される。そこで差別化の大きな基準の一つとしてAPを利用した広報活動の展開を掲示し、その活用法について検証を行う。
一章では、本研究の概要として、大学進学率の現状、実際に行われている大学の募集広報活動、APなど本研究に関する概要を説明する。第二章では、先行研究として広報の各コンテンツにおける役割を分析し、実際に広報活動に携わっている方々に話を伺うことで、より実用的な活用法としての仮設を立てる。第三章では、大学業界の現状やAO入試などについて述べる。第四章では、大学のブランド化へ向けての必要事項や各種コンテンツへの提案を述べる。第五章では、全体を通しての考察を行い、今後の課題について言及する。