現代情報社会における若者の人間関係の基礎構造に関する研究 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成23年度卒業研究概要集] [平成23年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
圓岡 偉男 ゼミ 平成23年度卒業論文
現代情報社会における若者の人間関係の基礎構造に関する研究
長谷川 三花子

近年、「若者の対人関係は希薄化している」と聞くことがある。特に、インターネットの誕生により、対面(現実世界)での対人関係が薄らいでいるためという指摘が多い。本稿では、コミュニケーションとはなにか再確認し、インターネットが現代の若者のコミュニケーションにどのように影響し、対人関係にどのような変化をもたらしているかを考察した。

コミュニケーションとは一般的に双方向性であり、二人以上の人が、メッセージを伝える「送り手」と、受け取る「受け手」との役割を交換しながら、情報を伝達・交換しあい、意味を「共有」することを目的としているものであり、用途に応じて様々なコミュニケーションツールが生み出されてきた。そこにインターネットも含まれており、人々が世界中に情報を自由に発信できることから、人との「つながり」を求め深めていく新しいツールが生まれ、人々はそれらを積極的に利用していくことがわかった。

そして、若者の友人関係、若者がインターネットを利用したあとで変化したこと、「希薄」ではない「親密」な関係とはなにか整理し、現代の若者はコミュニケーションのとり方によって異なる友人関係を持ち、さらにそれは個人が持つ複数の友人関係のなかでも使い分けられてくるため、「希薄化」しているようにみえるのだろうと考察できた。また、このように一様にとらえられなくなってきた背景には、インターネットの誕生により「選択しやすくなった」ためではないかと考えられることができた。

だが、若者の対人関係自体はそれほど変化していないのではないだろうか。居心地のよさだけを求める、否定や対立を恐れるだけでなく、根本的にコミュニケーションを行う人の意識が大切だと考える。普段、意識せず行っているコミュニケーションであるが、その背景は複雑であり、その複雑な背景を考慮したうえでコミュニケーションというものを考える必要があるであろう。